教育・研究

代表挨拶

科学と技術のハーモニーで人と社会をつなぎ、未来を形にする先端研

東京大学先端科学技術研究センター
所長 神崎 亮平
東京大学 先端科学技術研究センター所長  神崎 亮平 Professor KANZAKI, Ryohei, Director

わたしは先端研の所長就任に当たり、所の方針として「科学と技術のハーモニーで人と社会をつなぎ、未来を形にする先端研」を挙げました。その背景には、先端研の多くの先生方へのインタビューを通して、人と人、人と社会をつなぐことの重要性、そして、科学と技術を通してそのつながりに貢献し、そこから生まれる未来をしっかりと形にしていくことが重要であると確信したこと、そして、西村幸夫前所長が「Human Centered」を挙げ、人、Welfareを所の方針とされたことがあります。わたしはそれらをすべて受けた形で、このような精神をもって、先端研、そして社会に貢献したいという意味を込めて、この方針を示すことにしました。

先端研は、東大の附置研としては11番目に設立された最も新しい研究所です。通常、研究所の目的を示すための具体的な名称が、例えば宇宙線研究所、医科学研究所、生産技術研究所のように研究所の前に付くわけですが、先端研は、それとは異なり具体的な目的を示す名称がなく、「先端科学技術研究」となっています。これは、先端研の設立の趣旨が、既存の科学や技術にとらわれず、多様な分野の研究の統合、文理融合のもとで、人と社会に貢献する新しい科学と技術を生み出すという、他の附置研究所とは異質な使命を受けたためです。

先端研はそのような使命のもと、情報、材料、環境・エネルギー、生物医化学、バリアフリー、社会科学に大別される多様な分野を構築し、現在40以上の研究室を擁し、基礎から応用、社会実装までも広がる広範な領域をカバーするに至っています。そして、各研究室はその独立性を保ちつつも、先端研の個々の研究分野が多様に融合することで、社会のあらゆる要請に素早く対応できる環境が整ってきたわけです。このような先端研の特徴はまさに、科学と技術のハーモニーで人と社会をつなぎ、未来を形にするうえでは、最適な研究環境、そして研究者を擁した「場」であると思います。さらに、先端研ならではの「場」は、教員と事務職員がまさに両輪となって支え合うことで維持され、発展してきたのも大きな特徴です。

また、常に新しい科学と技術の創造にチャレンジを続ける先端研にとって重要なことは、若くて活気あふれる有能な人材が学び・育ち、そして個別研究から融合研究へと、自在な研究を通して活躍できる「場」を提供することです。

先端学際工学専攻に入学されたみなさんは、先端研が、新しい科学と技術を創出するうえで、いかに優れた環境であるかを、身をもって経験することができるはずです。多様な研究分野を学び、自身の糧とするためのカリキュラムも整っています。このような優れた教育・研究の「場」をいかに最大限に活用するかは、みなさん次第です。ぜひ、先端研という稀に見る「場」を活用し、人と社会をつなぎ、安全で安心、そして快適な未来をつくるための研究を展開いただければと思います。