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田辺 彩未さん(岡田研究室)

  • 私は2012年3月に先端学際工学専攻を修了し、現在は日本電気(NEC)スマートエネルギー研究所に勤務しています。在学中は光通信デバイス用の半導体結晶に関する研究を行っていました。先端研では、研究の基礎能力を身につけることができたのはもちろんのこと、多くの人と交流する機会を得ることができ、自分の世界が広がりました。その経験を糧に、「社会に役立つものをつくりたい」という気持ちで、機能性を高めた蓄電システムの開発という新たな研究に取り組んでいます。

    目標に向かってチャレンジするということ

    筑波大学に在学していたのですが、指導教官の岡田至崇教授が先端研に移られるのをきっかけに、先端学際工学専攻に入学しました。研究で扱ったのは量子ドットと呼ばれる直径数~数十ナノメートルの半導体結晶です。岡田教授の指導のもと、レーザーなど光通信デバイスの高性能化に向けて、高密度で高品質な量子ドットをつくるためにInAs(インジウムヒ素)系量子ドットの成長メカニズムの解明や、その過程を制御するための技術の開発を行いました。

研究室では、半導体の結晶を作り、分析をするという実験を繰り返しました。得られたデータを見て、目標に対して何が課題なのかを考え、また新たにチャレンジするという地道な研究でしたが、研究に対する取り組み方が身につき、忍耐力も培われたのではないかと思います。

先端研ならではの多くの人々との交流

先端研では、研究に集中できる時間と設備を与えてもらいました。また、周りの方々に励まされ、多くのことを教えていただきました。先端研には、専門分野や立場の異なるさまざまな人が所属しています。特に、私がいた連携研究棟はオープンラボがあり、世界中の研究者が集まっていました。工学系ばかりでなく、バイオ系などいろいろな分野の人と意見交換をすることができ、研究の幅が広がり、課題の解決にもつながりました。そのような交流を通して、いろいろな人と話すことは大事なことだと思いましたし、多くの人に助けてもらったことに感謝しています。

社会に役立つものをつくりたい

先端研では技術のための材料の研究でしたが、NECでは技術を使う立場からの研究です。研究の視点を変え、新しいことにチャレンジしたいという気持ちで飛び込みました。就職活動中にかけていただいた「何ができるかではなく、どうやって研究をしてきたかということを活かしてほしい」という言葉が印象に残っています。

研究分野が変わり、電気のシステムや回路などわからないことばかりですが、周りの人に教わりながら、社会に役立つものをつくりたいという目標のもとに研究を進めています。上司で主任研究員の梶谷浩司さんは、「企業の研究は期間の短いものが多く、次々と新しい研究に対応しなくてはなりません。そのためには、

多くの経験が役に立つので、事業に貢献する仕事だけではなく、好きな仕事もバランスよくやり自分の目標を実現してほしい」とおっしゃってくださいます。先端研での経験を生かして研究を進めていきたいです。

自分の世界を広げるチャンスに

先端学際工学専攻では、プロポーザルとプレゼンテーションという研究の基本を身につけるための授業がありました。プレゼンテーションは自分の研究を英語で発表するもの、プロポーザルは研究の企画書を作成するものです。プロポーザルは、当時は大変そうだと受講しなかったのですが、今となっては、プロポーザルを書く力は研究者にとって非常に重要であることを痛感しており、受講しておけばよかったと後悔しています。これから先端研で学ぶ人は、これらの講義を受けることをお勧めします。ほかにも先端研には、自分の可能性を広げるチャンスがいっぱいあります。先端研で過ごす間にチャンスをたくさんつかんで自分の世界を広げてほしいです。

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