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代表あいさつ

2026年4月1日

専攻長あいさつ

  • 先端学際工学専攻は、1992年の設立以来、修士課程を持たない博士課程専攻として、30年以上にわたり日本の大学院教育を牽引してきました。本専攻は、特定の領域を深く掘り下げる「専門性」の追求にとどまらず、異なる知を統合し、事象の本質を俯瞰する「一般性」を兼ね備えた人材の育成にいち早く取り組んできた先駆的な組織です。今でこそ一般的となった「社会人博士」の受け入れについても創立当初から積極的に取り組み、多様な実務経験を持つ人材とアカデミアを融合させてきました。2025年度までの累計修了者数は600名近くに達し、そのネットワークは社会の多方面に深く根を張っています。
     
    実質的な運営母体である先端科学技術研究センター(先端研)の特徴を反映して、本専攻は教員を含む人材の流動性がとても高い組織です。常に新しい血が入れ替わりながらも、組織としてのアイデンティティを保ち続けるその姿は、生命現象における「動的平衡」を具現化したシステムであると言えます。この代謝の良さに加え、異なるバックグラウンドや専門性を持つ研究者と学生が、一つのキャンパスにひしめき合い、互いの知をぶつけ合う。そこから生まれる創発的なエネルギーこそが、私たちの「先端」を常にシャープに保ち、時代の混迷を突き抜けるような、新鮮な「知」を絶え間なく削り出す原動力となっています。
     
    昨今、AIの飛躍的発展により、あらゆる分野での予測技術が高度化しています。しかし皮肉なことに、現実は不確定性が増し、近い未来の予測すら困難な、不安定な世界になりつつあります。この状況を打開するために必要なのは、高い情報処理能力や新しい技術への適応能力だけではありません。私たちは「先端」という名を冠していますが、新しい知見を切り拓くためには、その背後にある伝統や歴史、学問の文脈を深く理解し、継承していく「通時的な学際性」が不可欠だと考えています。普遍的な理論の深まりと、時代の変化に応じた動的な変容。この一見矛盾する要素を高度に両立させることこそが、本専攻の研究・教育方針の根幹です。
     
    「先端」と「学際」。この二つの言葉を繋ぐのは、既存の枠組みを理解しつつも、それに囚われない自由な精神と、未知の領域へ踏み出す勇気です。複雑化し混迷する現代社会において、自ら問いを立て、新たな地平を切り拓こうとする志を持つ方々を、私たちは心から歓迎いたします。

     

東京大学大学院工学系研究科 先端学際工学専攻
専攻長 矢入健久

常務委員あいさつ

  • 近年、科学技術は目覚ましい進展を遂げています。医学・生物学・薬学の発展によって健康寿命が大きく延び、私たちは一人一人が情報端末を手にし、AIが思考を支援し、ロボットが働く時代を迎えています。これらを支える情報通信技術や材料技術の重要性も、かつてなく高まっています。こうした科学技術は、私たちの生活や働き方だけでなく、学習や研究活動のあり方も大きく変えていくでしょう。その一方で、地球環境の急激な変化、エネルギー制約、世界情勢の不安定化など、解決すべき課題も数多く存在しています。

    このような時代に次の社会を切り拓いていくためには、さまざまな専門分野の先端を担う人々が、広い視野に立って力を合わせ、新たな課題の解決に取り組むことが不可欠です。先端学際工学専攻には、自然科学、生命医科学、情報科学、社会科学、芸術に至るまで、多様な研究分野を担う教員が所属しています。教員はそれぞれの専門分野で研究を推進すると同時に、分野を超えて日常的に情報交換を行い、学際的な研究に取り組んでいます。また、本専攻のカリキュラムは、博士課程の学生一人ひとりが学際的な視点を養いながら、研究を通じて深い専門性を身につけることを目指しています。

    異なる分野を学ぶうえで重要なことのひとつが、積極的に質問することです。質問することは、自分がどこまで理解できていて、どこがまだ理解できていないのかを明らかにすることでもあります。ときには、質問を通じて自らの無知をさらけ出すこともあるでしょう。しかし「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」と言われるように、ひとつの質問が理解を大きく深める契機になることがあります。さまざまな分野に関心を持ち、基本的なことであってもためらわずに質問し、議論を重ねていくこと。それこそが、分野の垣根を越えて集う人々が互いを深く理解し、学際的な協働を生み出すうえで重要だと考えます。先端学際工学専攻に所属する皆さんが、そのような姿勢を自然に身につけた人材として、新しい将来社会を切り拓いていくことを期待しています。

     

    東京大学大学院工学系研究科 先端学際工学専攻
    常務委員 小関 泰之    

 

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