東京大学
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宮本 大輔 さん(神崎・高橋研究室)

  • 私は2018年3月に先端学際工学専攻を修了し、2018年4月に外資系クラウド企業に入社しました。在学中はスーパーコンピュータ「京」を用いて、約70万個のCPUコアを並列に稼動させながら昆虫脳を模した神経回路を効率よくシミュレーションする研究に取り組みました。博士論文のテーマは「次世代スーパーコンピュータ環境における効率的かつ大規模な詳細神経回路シミュレーション手法に関する研究」です。指導教員の神崎先生には、修士課程も含めて約7年間ご指導いただきました。愛情深く、いつも周囲を勇気づける先生の研究に対する姿勢に何度も助けられたことを本当に感謝しています。

    多様なバックグラウンドをもつ仲間たち

    先端学際工学専攻の特色として、まずあげられるのが、学生が多様なバックグラウンドを有しているということです。企業に就職後、再びアカデミアで研究をしたいという情熱を持って進学した人、留学後に先端学際工学に進学した人もいます。もちろん東大からの内部進学者もおりますが、修士課程が無いため、自然と様々な学部・学科の人々が集まってくるように感じます。学生の多様性は、さまざまな研究のアイディアにもつながります。たとえば某メーカーの勤務を経て、自身と同じ研究室に在籍していた方は、実験の進め方や立ち居振舞いがとても整理されていました。企業の業務を通して学んで来られたことが、研究畑しか知らなかった当時の自分にとって新鮮で、大変よい影響を受けました。

先端学際工学専攻は、ユニークなバックグラウンドの人たちが集まって、互いに刺激を与えあう場です。「他とはちょっと違う何か」を求める人にとっては、ここで学ぶことは非常に価値ある経験になるはずです。

専門性という「武器」をもち、チームで課題に立ち向かう

講義は、他研究室の学生との交流の場となりました。特に印象深かったのが「先端社会論」という科目です。受講者が少人数で、密度の濃いディスカッションを重ねることができました。 ディスカッションのテーマには、明確な答えがないものあります。例えば「地球が滅亡し、脱出用のロケットが2台あり、搭乗する人員が集まっている。発射直前になって1台が故障した場合、誰を優先的に搭乗させて救出するのがよいか、搭乗する人員のプロフィールから選定せよ」というテーマを提示されたことがあります。 どのように議論を進めていけば、より良いアイディアが出せるのかという議論の進め方を考える力が試されました。私自身は、「工学的によい議論」をするにはどうしたらよいか、主に探索アルゴリズムの知識を駆使して考察したことが思い出されます。 一方で、官公庁に勤務しながら在籍していたクラスメイトには、社会科学分野に関する知識量に圧倒されました。専門が違えば、考え方やアイディアの出し方も異なります。それぞれが専門性という「武器」をもち、チームの中でバランスをとりながらひとつの課題に立ち向かう、先端学際工学専攻ならではの刺激がありました。

アカデミアの経験を企業に、企業での経験をアカデミアに

在学中の大きな懸念の一つが、博士号取得後の進路のことです。いま取り組んでいる研究が、果たして将来の進路に結びついていくのかという不安がありました。ですが、実際に就職活動を始めてみますと、研究成果のみならず、研究室のネットワーク管理や、研究のためのウェブサービスの構築などの様々な取り組みについて評価していただけることがわかりました。もちろん運やタイミングといった人智の及ばぬ要素も常にありますが、博士号取得までに日々積み重ねた知識と経験は、企業など幅広い環境で活かせるものだと今は強く感じています。 これからは先端学際工学専攻で学んできたスーパーコンピュータの知識や研究の進め方を、業務に活かしていきたいです。同時に、企業の側からも、クラウド技術を通した業務改善などでのアカデミアへの還元について、心に留めていきたいと考えています。

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