先端研所長あいさつ

先端学際工学専攻が設置されている東京大学先端科学技術研究センター（先端研）は、特定の専門分野の冠をつけない文理融合の研究所です。既存の研究が存在しない分野に着手する研究を推進し、分野の垣根を越えた領域横断の研究活動を行っています。そのため、異分野の研究と触れ合う機会が非常に多く、多様性に富んでいます。学生の皆さんには、この環境を最大限に生かし、先端研のスピリットを受け継ぎ、「次の時代に求められている学問とは何か」と絶えず考える姿勢を持ってほしいと考えています。

世界と比べると、日本の官庁における博士号取得者の割合は低く、科学技術の政策立案の場では足りていないのが現状です。修士号を取得し、すぐに博士後期課程に進むだけが選択肢ではありません。一度、社会に出てから、より俯瞰的な視点を持ちたい、より専門を深めたい、そして次の時代を切り拓く仕事をしたいという社会人を、我々は歓迎しています。

先端研は「つながり」を大切にし、産学官や自治体、国際機関、教育機関などとの連携活動に力を入れています。社会とのつながりはもちろんですが、実は世代間のつながりも非常に重要です。優れた研究者は人を育てるポテンシャルも持っていると信じています。その研究者たちと次世代のリーダーになる可能性を秘めた若者をしっかりつなげていくことは、先端研に課された重要なミッションの一つです。社会に対する問題意識を共有し、一緒に解決策を探していく。そういう場として先端学際工学専攻は先端研の財産です。