東京大学
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稲見・檜山・瓜生研究室

稲見教授

「人間拡張」によって、身体の「自在化」を実現する

稲見・檜山・瓜生研究室は、身体の「自在化」の実現に向けた研究に取り組む。目指すのは、人間のやりたい作業を、技術を駆使して、より心のままにできるようになることだ。そのために、人間と機械・コンピュータ「人機一体」により、人間の能力を拡張する「人間拡張工学」の研究・開発に取り組んでいる。

拡張する技術の構築と、拡張された人間の理解と

私たちは、「人間のやりたいこと」を機械や技術をもちいておこなう「自在化」の概念を提唱し、社会で実現させようとしています。人間のやりたくないことを機械にさせる「自動化」に対する概念です。

自在化を実現するために、人間と機械・コンピュータが「人機一体」となり、人間の認識や行動能力を拡張する技術である「人間拡張工学」を研究開発に取り組んでいます。「自在化」のための技術を築くだけでなく、拡張された人間が自分の身体をどう知覚し、適用しようとするのかといった人間のシステム的理解も行っています。

たとえば、研究室では「メタリム(MetaLimbs)」という2本の腕型ロボットアームを足で操作できるシステムを開発しました。 “新たな腕”を自在に操り「人機一体」の感覚を検証します。また、指先搭載型の顕微鏡「マグニフィンガー(MagniFinger)」のように、修士課程の大学院生が開発したデバイスもあります。

ドラえもんはいないけれど、技術はつくれる

子どものころから運動が苦手でした。木に登ってすこしずつ高いところから遠くまで飛ぶ練習をしていたら、落ちて骨折してしまった経験もあります。運動をしても上達しませんでしたが、『ドラえもん』を読んでいるとき、「道具を使うことで生身の体でできないことだってできる」ということに気づきました。

その後も、ドラえもんは現れなかったものの、1984年のロサンゼルスオリンピックで「ロケットマン」が空を飛んでいるのを見て、「技術があれば、人間は空だって飛べるんだ!」と、大きな感銘を受けました。私にとっての研究の原点はここにあります。

それから30年後の2014年、身体と技術の融合による「超人スポーツ」を提唱しました。いま、普及に取り組んでいます。電動バランスボードに乗ってゴールにボールを入れていく「ホバークロス」という競技の大会で、ついに私もスポーツでチャンピオンになりました。「超人スポーツ」は、苦手意識や興味のなさからスポーツをしていなかった人が、楽しくスポーツをするようになるきっかけにもなります。

「自分は何に対してドキドキするか」

入ってくる大学院生たちには、まず研究室として取り組んでいるプロジェクトを紹介し、興味を持てそうな研究に携わってもらっています。けれども、途中で独自のアイデアを思いついたり、別のことに興味をもちはじめたりする学生もいます。そうした学生には、新たなテーマをメインに研究に取り組んでもらうこともあります。

人間拡張工学はまったく新しい研究領域です。かつてロボット工学が始まったとき、生物工学、機械工学、制御工学などいろんな分野の人が知識を持ち寄ったのと同じように、人間拡張工学も、学部時代に身につけた「得意技」があれば、どんなものであっても貢献することができます。

自分の研究を進めていくにあたっては、ぜひ「自分は何に対してドキドキするか」を知っておいてください。自分が興味を持っていないと研究は長続きしません。逆に自分の興味あることを研究することが、研究のオリジナリティにつながります。内発的なモチベーションを抱ける興味対象に出合うためにも、さまざまな経験をすることは意義あることだと思います。

稲見研究室の様子
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