東京大学

牧原研究室

牧原教授

文理融合・異分野融合の先端研ならではの政治行政学を目指して

「政治行政システム分野」の牧原研究室は、文理融合・異分野融合を掲げる先端研ならではの行政学・政治学の研究に取り組んでいる。「行政は森羅万象に関わる」と断言する牧原教授は、従来の行政学が目を向けて来なかった分野も研究対象とする。さらには、自然科学と社会科学をクロスオーバーさせた多様な共同研究プロジェクトを通じて分野横断的な研究を進めている。

オーラル・ヒストリーと共同プロジェクト

牧原研究室における研究の大きな柱は「オーラル・ヒストリー・プロジェクト」です。政治家、行政官、司法関係者、ジャーナリスト、文化人など公人が語った経験を記録します。新史料発掘に加えて、オーラル・ヒストリーの手法を使うことで、戦後の日本政治史研究や統治構造改革史研究、さらには欧米諸国との比較歴史研究などを行っています。

東日本大震災以後、「アーカイブ」という言葉が社会に浸透し、「記憶を記録する」ことの意義が広く認識されるようになりました。牧原研究室ではこうした社会の動向を見据えながら、長期的視点でオーラル・ヒストリー・プロジェクトに取り組んでいます。

また「森羅万象に関わる行政」の強みを活かして、他分野とのクロスオーバーを重ねながら研究会を組織しています。そのひとつが「地域共創リビングラボ」です。先端研の各研究室と地方自治体・地域とを「多対多」の関係で連携し、先端研の知見やネットワークを各地域の問題解決に活かす「地域連携プロジェクト」です。この他にも多様な国内・国際連携プロジェクトを主導しています。

制度の「作動」を考える

牧原研究室は、時計台で有名な先端研13号館(旧東京帝国大学航空研究所本館)にあります。時計台の時計がどのように動いているのか、その作動の様子やしくみは内部(裏側)から見ないと分かりません。

新たに提唱した「作動学」とは、制度がどのように作動するかを予測し、その評価・検証をしつつ、制度の設計を考える営みのことです。マイナンバーカードや裁判員制度など、近年は新たな政治・行政制度がうまく作動しない、あるいは作動に大きな労力がかかって問題化するケースが目立っています。これは事前に制度の作動を十分に予測・評価していなかったことが原因です。

牧原研究室では、「作動学」の視点から、現在起こっている政治・行政現象を分析する研究を行っています。情報システムが高度に発達したために、移行した瞬間から新制度が高速に稼働することを求められる現代社会において、作動学はますます重要になると考えています。

「森羅万象との関わりを体感したい人」に

先端学際工学専攻は社会人大学院生が大学院生全体の約半数を占めますが、社会人にもっとトライしてもらいたい、そして先端研のリソースを活かした研究を行ってほしいと思います。特に行政は森羅万象に関わるので、森羅万象に関心を持ちながら自分のポジション・位置取りを考え直す人を歓迎したいです。

また、行政学の主流は現代の研究になると思いますが、私の研究室には歴史に関心がある人、現代と過去との対話を面白いと考える人に来てほしいと思います。さらに、オーラル・ヒストリーや地域共創リビングラボに関心がある人がいいですね。「森羅万象との関わりを体感したい人」といっしょに研究を進めたいと考えています。

牧原研究室の様子
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